設立趣旨

種子伝染性病害(以下、種子病害)は、第一次伝染源として病原体汚染種子による未発生地への新たな病害、レース等の未発生病原型の持ち込み、既発生地での最も重要な伝染環の構成要因として、被害の地理的拡大と発生地での発生持続に大きく関係しています。また、近年、栽植用種子の国際流通の普遍化と拡大、国際的な植物検疫体制の強化と徹底等の社会的背景から、種子病害の重要性はより一層高くなっていると考えられます。また、SDGsの目標のうち、2の「飢餓」、12の「持続可能な消費と生産」、EUの「Farm to Fork」政策での化学農薬の削減と有機農業の拡大、日本の「みどりの食料システム戦略」での2050年迄の化学農薬の使用量の50%削減と有機農業取組面積割合の25%への拡大等、国内外で環境保全、持続的な農業生産に向けての目標が掲げられています。これらの目標達成の上でも種子病害対策は重要な位置を占めると考えられます

種子病害に係る研究開発について、国際的には国際植物病理学会の種子病理委員会、種子病理検査法に限ってはISTA、ISFのISHI-Veg等での組織的な組織活動が行われています。しかし、日本ではスポット的に問題となる個別の種子病害のプロジェクト研究での研究開発以外では、恒常的かつ組織的な活動は存在していません。このことが、日本における種子病害に関する研究開発の遅れと種子病理検査法に係る国際的な発言力の低迷等を招いていると考えられます

そこで、日本における種子病害に関する研究の加速を目的として、野菜・花き、一般作物、飼料作物等の全作物を対象として、産学官の研究勢力が集う種子病理研究に係る研究会を設立したいと思います。本研究会の活動により、種子生産、種子消毒、種子検査、流通までの種子のサプライチェーン全体を一気通貫した健全種子供給、農作物の持続的生産、安定供給に貢献することを研究会の目的とします


皆様には、本研究会の活動にご理解、ご協力をお願いするとともに、本研究会が開催するイベントに多くの方に参加下さるようお願い致します。